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学長挨拶

こんにちは。作曲家・ピアニストの新垣隆です。

このたび新しい学校がはじまります。

音楽について学ぶことでより音楽を楽しみ、生活をよりよいものにする、その目標自体はシンプルで、これからの新しいコミュニケーションの形となるオンラインにおいて、私たち音楽家とより多くの人々との交流をはかるー従来のコンサートと併せたーひとつの形となります。

教授陣は現在現役で活躍するアーティストたちで、それぞれがその得意分野についての講座を持ち、受講する皆さんはご自身の興味、関心において講座を自由に選択することが出来ます。初級者コースから専門的コースまで、レヴェルも実に幅の広いものであり、その点においてもそれぞれの目的に相応しいものを選ぶことが可能です。

以上は学校全体についての紹介となりますが、以下はその中における教授のひとりとしての、私からの個人的なメッセージです。

私自身は今後、このオンライン授業を含めたあらゆる機会において「交響曲とは一体何か?」ということを、より多くの人々に向けて発信します。交響曲という名前は私にはとても深い関わりがありーと言うのは、いわゆるあの「例の件」です(とだけ言ってこれが伝わる事も、また逆に伝わらない事も、いずれにしてもちょっと虚しい訳ですが…)ー

上記の問いは私にとっての最も重要な事柄となります。

でも交響曲に日常的に関わりがあるという人は当然それほど多くないはずで、私が関わりがあるからと言って、だから何なのだという話です。なのですが私としては交響曲というものがあり、なぜそんなものがこの世に存在しているのかを人々の頭のどこか隅に置いてもらうべく、考えたり発言したりするー「あまり関係のないものの存在理由について、認識してもらう」ことが目的です。

もちろんそれは、私自身が自分の生活の中で普段あまり関わりを持たない多くの(実に多くの)ことがらについて、なぜあまり関係がないのかをある程度知る、あるいは考えるようになれること、ということと同じことですーさまざまな文化の共存のために、それは必要なことかと思います。

この学内に限っても、教授の関心はそれぞれ、実に多様です。皆さんの参加をお待ちしています。

新垣 隆